
Pythonは入れる順番と箱(仮想環境)の作り方さえ外さなければ、初心者でも短時間で動きます。この記事では、Windows / macOS / LinuxのOS別に、標準Python+venvを中心とした最短ルート、Anaconda/Minicondaの選び方、VS Code+Jupyterの基本設定、そしてHello World → 図を1枚描く → PDF化まで一気に通します。詰まりやすいポイントは対処集も用意しました。
この記事で身に付くこと
- 最短・安定なPythonインストールと仮想環境の作り方
- venv と Anacondaの使い分け判断
- VS Code+Jupyterの基本設定と運用のコツ
- Hello→図→PDFまでの“動く”初成果の出し方
最初に知っておくとラクになる“3つの落とし穴”
はじめに、よく詰まるポイントだけ共有します。PATHが通らない(python
が見つからない)、仮想環境を使わずグローバルに汚す(翌月動かない)、Jupyterのカーネルが出ない(実行できない)。これらは「箱 → 道具 → 最小実行」の順に進めれば避けられます。以下は一本道です。
最短ルートの選び方
迷ったら標準Python+venv。講座一括導入や重い科学計算が前提ならAnaconda/Miniconda。PCが非力・権限がないならクラウド(Colab/Codespaces)が手堅いです。
OS別:標準Python+venv(推奨)の一本道
Windows 10/11
1) Pythonを入れる(公式インストーラ)→ インストール時に「Add python.exe to PATH」を必ずチェック。
python --version
py --version # うまくいかないときはこちら
pip --version
2) プロジェクトの箱(venv)を作る
mkdir C:\work\hello && cd C:\work\hello
py -m venv .venv # or python -m venv .venv
.venv\Scripts\activate
python -m pip install --upgrade pip
pip install jupyterlab pandas matplotlib
3) VS Code+拡張を入れる(Python/Jupyter拡張)→ 左下のインタープリタを.venv
に切り替え。
4) Hello World
print("Hello, Python!")
python hello.py
# Notebook派は
jupyter lab
Windowsでよくある詰まり
python が見つかりません
→ 一度ログアウト、またはpy -V
で確認。pip は内部コマンドではありません
→Scripts\activate
で.venv
を有効化。- 日本語・スペースを含むパス →
"C:\Users\User Name\..."
のように引用符で囲む。
macOS(Intel / Apple Silicon)
1) Homebrewまたは公式パッケージでPython
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
brew install python # Homebrew派
# あるいは python.org から macOS installer を取得
2) venvの作成と有効化 → パッケージ導入
mkdir -p ~/work/hello && cd ~/work/hello
python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate
python -m pip install --upgrade pip
pip install jupyterlab pandas matplotlib
3) VS Code拡張(Python/Jupyter)→ インタープリタは.venv
を選択。
macOSのヒント
xcrun: error
→xcode-select --install
。- SSL/証明書エラー →
pip install --upgrade certifi
や社内プロキシ設定を確認。 - Apple Siliconでビルド失敗 → まずは純Pythonのライブラリから。重い依存はconda検討。
Linux(Ubuntu系の例)
sudo apt update && sudo apt install -y python3 python3-venv python3-pip
mkdir -p ~/work/hello && cd ~/work/hello
python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate
python -m pip install --upgrade pip
pip install jupyterlab pandas matplotlib
python - <<'PY'
print("Hello, Python!")
PY
Anaconda/Miniconda(配布・科学計算まとめて入れたい人向け)
講義や配布で同じ環境を一括で整えたい場合に便利です。最初の箱だけcondaで用意し、普段使いはvenvという運用もアリ。
# Anaconda または Miniconda をインストール後
conda create -n ds python=3.10 -y
conda activate ds
conda install -y jupyterlab pandas matplotlib scikit-learn
VS Codeでは拡張を入れ、インタープリタでconda env:ds
を指定してください。
Helloから“小さな成果物”へ(15分)
まずはスクリプトでHello、次にNotebookで図を1枚、最後にPDF化まで。ここまで行ければ“仕事になる一歩手前”です。
print("Hello, Python!")
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
s = pd.Series(\[3, 1, 4, 1, 5, 9])
s.plot()
plt.title("My First Plot")
plt.show()
import pandas as pd
sales = pd.read\_csv("sales.csv")
print(sales.head())
print(sales.groupby("category")\["amount"].sum())
pip install papermill nbconvert
papermill report_template.ipynb out.ipynb
jupyter nbconvert --to pdf out.ipynb
VS Codeの初期設定(5分)
- 拡張:Python、Jupyter、Rainbow CSV、Prettier(Markdown用)
- インタープリタ:左下から
.venv
を選択 - ターミナル:
Ctrl+Shift+`
/⌃
+`
で起動、プロジェクト直下で実行 - 保存時整形(例)
{
"editor.formatOnSave": true,
"python.analysis.typeCheckingMode": "basic",
"jupyter.askForKernelRestart": false
}
つまずき対処集(保存版)
よくあるエラーと対処
python: command not found
:Windowsはpy -V
、mac/Linuxはpython3 --version
で確認。PATH未設定の可能性→再ログイン。pip
がグローバルを指す:仮想環境を有効化(source .venv/bin/activate
/Scripts\activate
)。which pip
/where pip
で確認。- Jupyterに
.venv
カーネルが出ない:pip install ipykernel
→python -m ipykernel install --user --name hello-venv
。 - SSL/証明書/社内プロキシで失敗:
pip --proxy=...
や--trusted-host
を一時対応に。 - PermissionError:管理者権限でのグローバル導入は避ける。venv/condaで解決。
- Matplotlibの図が出ない:Notebookは
%matplotlib inline
、スクリプトはplt.show()
。 - VS Codeが別のPythonを使う:左下のインタープリタを
.venv
に固定。
venv と Anaconda の使い分け
項目 | venv(標準) | Anaconda/Miniconda |
---|---|---|
速度/軽さ | ◎(軽量) | ○(やや重い) |
互換/素のPython感 | ◎ | ○(conda独自の管理) |
科学計算の一括導入 | △ | ◎ |
講座配布のしやすさ | ○ | ◎ |
Docker化 | ◎ | ○ |
初学者の学びやすさ | ◎ | ○ |
迷ったらvenv。講義指定やネイティブ依存が多いならcondaを選べばOKです。
今日やること(30分)
- ルートを選ぶ(A: venv/B: conda/C: クラウド)。
- 本記事のOS別手順で
hello.py
を実行。 - Notebookで図を1枚描き、手順をREADMEに1画面でメモ。
- 余力があればpapermill→nbconvertでPDF化。
筆者(ふみと)は、企業のPC更新やポリシー変更で環境が壊れるのを何度も経験しました。“壊れても10分で再現”を合言葉に、この記事の手順をテンプレ化しておくと仕事が本当に楽になります。
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FAQ
Q. バージョンは何を入れれば良い?
主要ライブラリが対応する現行3.xを推奨。既存プロジェクトの指定があればそれに従ってください。
Q. venvとconda、どちらが正解?
配布や重依存ならconda、軽量・標準ならvenv。どちらもプロジェクトごとに分ければOK。
Q. Jupyterとスクリプト、どっちで始める?
学習・探索はJupyter、運用やツール化はスクリプト。両方使えるのが最強です。
Q. 管理者権限がないPCです
クラウド(Colab/Codespaces)で開始し、成果物はGitHubに保存しましょう。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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