
Pythonの環境づくり、結局「venv」「pip」「Anaconda(Conda)」のどれから始めればいいの?
最短で沼らず、あとから壊れないやり方が知りたい…!
そんなモヤモヤを一気に解決するために、「軽さ×再現性×相性」で選ぶ実務ガイドを用意しました。この記事はpythonbunseki.comの他記事と同じトーンで、コピペで動く手順と運用ルールをまとめています。
この記事で身に付く力
- 用途別に「venv / pip / Conda」を選ぶ判断軸
- 再現性の高い環境を作る雛形(requirements / environment.yml)
- VSCode・Jupyterの正しい紐づけと運用ルール
- トラブル早見表と詰まり回避のコツ
ふみとの実体験メモ(1分で読める)
大手企業の案件でWindows+重依存ライブラリ(地理・最適化)を扱ったとき、pip単体ではビルド地獄に。Miniconda(conda-forge優先)に切り替えたら一撃で通り、その後はenvironment.ymlで配布して事故ゼロでした。逆に社内自動化や学習では、軽い公式Python+venv+pip(+pip-tools)が最短&壊れにくい定番です。
最初に結論:「軽さ×再現性×相性」で決める
軽さ(速く壊れにくい)=公式Python + venv + pip
、再現性(他PCでも同じに動く)=pip-tools / requirements.txt
、相性(ネイティブ依存が重い)=Conda/Miniconda(+mamba)
を基本線に選びます。迷ったらvenvで始める→ビルドで詰まったらCondaへが安全です。
用途別の早見表
用途 | 推奨 | 理由 | 補足 |
---|---|---|---|
学習・自動化・可視化(pandas/Matplotlib) | venv + pip | 軽い・速い・壊れにくい | pip-tools で再現性UP |
科学計算/地理/最適化(geopandas, shapely等) | Miniconda(+mamba) | ネイティブ依存に強い | conda-forge 優先 |
深層学習(CUDAなどGPU) | (まずは)venv+pip or Conda | OS/ドライバ相性次第 | 公式手順に従う |
チーム配布/本番寄り | Docker | 箱ごと固定 | venv/condaはコンテナ内で |
venv + pip:最小で強い“軽量正攻法”
1) 雛形(Windows/Mac共通)
mkdir proj && cd proj
python -m venv .venv # macOS/Linux は python3
# Windows
.\.venv\Scripts\Activate.ps1
# macOS/Linux
source .venv/bin/activate
python -m pip install -U pip
pip install pandas matplotlib jupyter
VSCodeでは左下のインタプリタ選択から.venv
を選びます。保存時に自動整形したい方は後述の品質テンプレを追加しましょう。
2) 再現性アップ:pip-tools(強推奨)
pip install pip-tools
pip-compile -o requirements.txt # 依存をロック
pip-sync requirements.txt # 環境を要求仕様に同期
運用原則:新規追加はrequirements.in
に書く → pip-compile
→ pip-sync
。配布はrequirements.txt
だけでOK。
3) Jupyterカーネル登録(Notebookを安定運用)
pip install ipykernel
python -m ipykernel install --user --name proj-venv --display-name "Python (proj)"
4) 品質テンプレ(任意)
pip install black ruff pre-commit pytest
pre-commit install
pytest -q
repos:
- repo: https://github.com/psf/black
rev: 24.4.2
hooks: [{id: black}]
- repo: https://github.com/astral-sh/ruff-pre-commit
rev: v0.5.0
hooks: [{id: ruff}]
Miniconda(+mamba):“重依存”に強い安定基盤
なぜConda? C/Fortran依存やGDAL/GEOS系などビルドが重いパッケージに強く、environment.yml
で環境を丸ごと定義できるので配布や再現が簡単です。
最短セット(conda-forge優先が安定)
# Miniconda を入れた前提
conda create -n proj python=3.11 -y
conda activate proj
# まず conda-forge を優先(安定)
conda config --add channels conda-forge
conda config --set channel_priority strict
conda install -y pandas matplotlib jupyter ipykernel
python -m ipykernel install --user --name proj-conda --display-name "Conda (proj)"
高速化Tips:mamba
(Condaの高速実装)が使えるなら、conda
コマンドをmamba
に置き換えてOK。
environment.yml(配布/再現用の雛形)
name: proj
channels:
- conda-forge
- defaults
dependencies:
- python=3.11
- pandas
- matplotlib
- jupyter
- ipykernel
- pip
- pip:
- black
- ruff
conda env create -f environment.yml
conda activate proj
conda + pip を安全に混在させるルール
- 原則:まずconda優先、無いものだけ
pip
(environment.yml
のpip:
で管理)。 - 順番:
conda install ...
→pip install ...
(逆順は壊れやすい)。 - 再現:常に
environment.yml
へ反映。conda env export --from-history
で最小化。
VSCode & Jupyter:正しい紐づけ
VSCodeは左下のPythonバージョンから.venv
またはconda
環境を選択。Notebookはカーネルセレクタから「Python (proj) / Conda (proj)」を選ぶ。トラブルの多くはインタプリタ≠pipの向き先なので、python -m pip ...
で向き先を明示しましょう。
企業PC/低スペPCの現実解(詰まり回避)
- 権限が厳しい:ユーザー領域にインストール、
python -m pip
を徹底。 - ネットが不安定/遅い:まずは[内部リンク:低スペックPCでも学べる?クラウド環境の使い方]へ。Colab/Kaggle/Codespacesで雲へ寄せる。
- セキュリティ:
.env
に鍵、PII非取得、社外持ち出し禁止。→ [内部リンク:Webスクレイピングの法的リスクと安全運用]
Dockerは“箱ごと固定”が必要なときだけ
# 最小例(venvをコンテナ内で)
FROM python:3.12-slim
WORKDIR /app
COPY requirements.txt ./
RUN python -m pip install -U pip && pip install -r requirements.txt
COPY . .
CMD ["python","main.py"]
- 用途:チームに同じ箱を配る/本番に近い動作確認/CI。
- 非用途:学習の最初の一歩(まずは venv / conda で十分)。
トラブル早見表(症状→対処)
python
/pip
が見つからない:python -m pip --version
で向き先確認(Windowsはpy -3 -m pip
)。- pipの向き先が違う:VSCodeでインタプリタ選択→ターミナル再起動。常に
python -m pip
で。 - Notebookのカーネルが消えた:
ipykernel
を入れ直し→python -m ipykernel install --user --name ...
。 - condaが遅い:
mamba
、channel_priority strict
、conda clean --all
。 - ビルドエラー:Minicondaへ切替、
conda-forge
優先、WindowsのVisual C++再頒布可能パッケージを確認。 - 依存地獄:pip-toolsでロック、
requirements.txt
/environment.yml
を唯一の真実に。
今日やること(45〜60分)
- 目的に合わせて選択(学習=venv/重依存=Conda)。
- 本記事の雛形で環境を作る(
requirements.txt
/environment.yml
/ipykernel
)。 - VSCode/Notebookのインタプリタ/カーネルを明示的に選ぶ。
- 再現ファイル(
requirements.txt
orenvironment.yml
)をGitに保存。→ 次は[内部リンク:仮想環境と依存関係管理:pip-tools/requirementsの基礎]へ。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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