
PCが古い/非力で、学習や実務を諦めていませんか?
結論:処理をクラウド側に寄せれば、低スペPCでも十分に戦えます。
この記事で身に付く力
- Colab/Kaggle/Codespacesで“雲寄せ”する実務的ワークフロー
- 低メモリでも落とさないpandas術とデータの軽量化
- 安全運用(秘密情報/法務)と再現性の型(requirements/Makefile)
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最初にぶつかる壁:低スペックPCの“3つの課題”
「インストールで詰む」「メモリで落ちる」「処理が遅い」。この3つがやる気を削ります。
ここを乗り越える鍵が、“端末は薄く、環境は雲へ”の設計です。
ローカルは編集とプレビュー、重たい処理はクラウドへオフロードしましょう。
よくある課題
- インストール地獄:依存関係の衝突、ビルド失敗、ディスク不足。
- メモリ不足:大きいCSVを読み込むとノートブックがフリーズ。
- 処理が遅い:学習や可視化に時間がかかる。
解決の原則
ローカルPCでは編集とプレビューだけに絞り、重い処理はクラウドへオフロードします。
- ローカル:VSCodeで編集、Gitで管理。
- クラウド:Colab/Kaggle/Codespacesで実行。
- 成果物:
requirements.txt・Makefileで再現性を担保。
目的別:どのクラウドを使う?(まずは無料枠から)
どれを選ぶかは目的次第。最初は無料枠で十分です。
| 用途 | 推し環境 | 強み | 向いていないこと |
|---|---|---|---|
| 学習・試作 | Google Colab | 手軽、GPU/TPU切替、Drive連携 | 長時間常駐・大容量の永続保管 |
| 再現とデータ共有 | Kaggle Notebooks | 公開データ+Notebookの再現性◎ | 外部秘密データ、長時間ジョブ |
| 本番寄り・CLI | GitHub Codespaces | VSCodeそのまま、Docker/CLI | 無制限無料ではない、GPU学習 |
動かす順番の目安:まずはColabで手応え→Kaggleで再現性を担保→必要に応じてCodespacesへ。
Colab:最短セット(コピペOK)
最初の5分で「環境確認 → 必要パッケージ → GPU確認 → Drive連携」まで済ませます。
セルを上から順に実行してください。
# 1) バージョン確認:"いま何が入っているか"を把握
import sys, platform, pandas as pd
print(sys.version) # Pythonのバージョン
print(platform.platform()) # 実行基盤(Linux/CPU/GPUなど)
print(pd.__version__) # pandasのバージョン
# 2) 必要ライブラリを静かにインストール(-qで出力を抑制)
!pip -q install pandas matplotlib scikit-learn pyarrow python-dotenv
# 3) GPUの有無を確認:ディープラーニング以外では必須ではありません
!nvidia-smi || echo "No GPU"
# 4) Google Driveを必要なときだけマウント(データ/鍵の保管に)
from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')ポイント:出力を最小化し、各セルに「目的」をコメントしておくと後から読んでも迷いません。
低メモリでも落とさないpandas術(5つの型)
大きなCSVでも、列を絞る・型を詰める・分割で読む・段階集計・中間Parquetが基本です。
# 何をするコード?
# → 大きいCSVを「必要な列だけ」「軽い型」でチャンク分割し、
# 各チャンクで集計して最後に結合。メモリ使用量を最小化します。
import pandas as pd
usecols = ["date", "category", "sales"] # 使う列だけ読む
dtypes = {"category": "category", "sales": "float32"} # 軽い型にする
reader = pd.read_csv(
"big.csv",
usecols=usecols,
dtype=dtypes,
parse_dates=["date"],
chunksize=200_000 # 20万行ずつストリーム処理
)
parts = []
for chunk in reader:
# チャンク単位で中間集計(列×関数だけに集中)
parts.append(chunk.groupby("category").sales.sum())
res = (
pd.concat(parts)
.groupby(level=0).sum() # カテゴリごとに合算
.sort_values(ascending=False)
)
res.head()型最適化テンプレ(貼るだけ)
def optimize_dtypes(df):
# int64/float64を可能な限り小さい型に落とす
for c in df.select_dtypes(include='int64').columns:
df[c] = pd.to_numeric(df[c], downcast='integer')
for c in df.select_dtypes(include='float64').columns:
df[c] = pd.to_numeric(df[c], downcast='float')
# カーディナリティが低いobjectをcategoryへ
for c in df.select_dtypes(include='object').columns:
if df[c].nunique() / len(df) < 0.5:
df[c] = df[c].astype('category')
return dfまずは10%サンプル(sample(frac=0.1, random_state=0))で動作確認 → 問題なければ本番データに拡大、が安全です。
秘密情報(.env)の扱い:Colabでも安全に
個人情報(PII)やAPIキーはクラウドに直接置かないが原則。鍵はDriveの安全フォルダに置き、読み取り専用で読み込みます。
-
公開Notebookに鍵を直書きしない。
-
共有は期限付きリンク。不要になったら削除&ローテーション。
from dotenv import load_dotenv
load_dotenv("/content/drive/MyDrive/secret/.env") # API_KEY=...Kaggle Notebooks:再現性ファースト
Notebookとデータを一体で公開できるのが強み。上部に「pipセル+設定セル」を置くのが再現性のコツです。
!pip -q install pandas matplotlib pyarrow
import os, pandas as pd
print(os.listdir('/kaggle/input')) # Inputの確認
# 出力は /kaggle/working に保存- Datasetを
/kaggle/input/...に追加しておく。 - Notebookの冒頭で環境・依存・入出力パスを宣言。
GitHub Codespaces:ブラウザで本番寄り(Docker/CLI)
ブラウザだけでVSCode+Docker+CLI。
最初にdevcontainerを置いておくと、誰が開いても同じ環境が立ち上がります。
{
"name": "python-dev",
"image": "mcr.microsoft.com/devcontainers/python:3.11",
"features": {"ghcr.io/devcontainers/features/git:1": {}},
"postCreateCommand": "pip install -U pip && pip install -r requirements.txt"
}一緒に置くもの:requirements.txt / Makefile / README.md / src/ / tests/
- CI(GitHub Actions)で
pytestを回して品質の見える化。 Makefileに「学習」「評価」「整形」をワンコマンド化。
GPUは“いつ使う”?(そして使わない)
- 使う:ディープラーニング/画像/大規模埋め込みなど行列演算が支配的な処理。
- 使わない:pandasの整形・集計、小〜中規模の木系モデル。
- Colabの流儀:まずCPUで形を作る→学習ループだけGPUへ。
現実的ワークフロー(在宅版)
ローカルは薄く、クラウドは太く、納品は再現性で整えます。
企画 →(ローカル)Notebookの骨組みだけ →(Colab)ETL/学習 →(Kaggle)再現用に清書 →(Codespaces)CLI/テスト整備 → 納品(requirements / Makefile / README / sample / tests)
安全運用:法務・鍵・社内規定
- 法務:規約/robots順守。CAPTCHA回避や保護回避は×。→ [内部リンク:Webスクレイピングの法的リスクと安全運用]
- 情報:PII非取得、鍵は
.env、共有は期限付きリンク。 - 社内:業務データの外部持出し禁止、秘密保持は契約に明記。→ [内部リンク:見積り・契約・著作権]
よくある“詰まり”の応急処置 10選
詰まったら以下を順にチェック。原因の切り分けが早くなります。
- インストールが遅い →
-qで静かに/依存を減らす/pyarrow活用。 - メモリ落ち →
usecols+dtype+chunksize/中間をParquetへ。 - Notebookが重い → 出力を消して保存/
%%captureで抑制。 - GPUが見えない → ランタイム再起動/GPU設定を「有効」に。
- ファイルが見つからない →
os.getcwd()/Path().resolve()で確認。 - 図が汚い →
plt.tight_layout()/図は“3点+結論1行”。 - Drive連携が切れる → セッション前提でこまめに保存。
- 秘密情報を公開 → 即削除/ローテーション、履歴から除外。
- 実行が遅い →
sampleで動作確認→段階的に拡大。 - 再現できない →
seed/requirements固定/Makefile化。
今日やること(45分)
- Colabを開く→
pip installセル+usecols/dtype/chunksize雛形をコピペ。 - Parquetに書き出すワークフロー(
compression='zstd')を試す。 - Kaggle Notebookを1本作り、上部にセットアップセル。
README/requirements/Makefileの3点を雛形で作成。→ [内部リンク:作業時間を半減する環境構築]
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