
「単価を上げたいけど、どう説明すれば通るの?」
値上げは“お願い”ではなく、価値を設計して見せること。根拠が揃えば交渉は落ち着きます。
この記事では、成果(Before→After)×再現性×リスク低減を価格に翻訳するやり方を、テンプレとスクリプト付きで解説します。筆者(ふみと)が大手でのデータ運用/受託で実際に通してきた「週次10分会+図3点+結論1行」の型も紹介します。
この記事でわかること
- 値上げが通らない理由と避け方
- ROIの出し方と価値カードテンプレ
- 3プラン(Good/Better/Best)の作り方とアンカー戦略
- 反論対応スクリプト/譲歩の優先順位
- 固定+成果連動のハイブリッド課金
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よくある“単価が上がらない”原因
共通するのは次の3つ。どれかに心当たりがあれば、後述のテンプレで整えましょう。
- 成果が数字で語られていない
→ 工数ではなく、粗利・欠品率・ROAS・処理時間などのKPIで説明する。 - 再現性の保証が弱い
→ README/テスト/ログなし=属人化の不安。運用設計を見せる。 - 比較軸が時給ベース
→ 社内人件費や単純作業と横並びになる。価値ベースに切り替える。
解決策はシンプル。成果(価値)×再現性(信頼)×リスク低減(安心)の三要素を価格の根拠に翻訳して提示することです。
ふみとの実体験メモ
10年の現場で「値上げが通った」共通点は、週次10分会で図3点+結論1行→翌週も同じ手順で成果を再現できたこと。再現性の設計が前提でした。
価値を“金額”に翻訳する:手順とテンプレ
1. ROIの出し方と「価値カード」
まずはROIを一枚で示します。
Before→After、対象人数と頻度、KPI改善、再現性の担保を載せましょう。
【ROI(月)】
(短縮時間[h] × 人件費[円/h] × 対象人数 × 運用率) + (KPI改善の金額換算) - 月額費サンプル計算
- 会議準備:60分 → 10分(-50分)
- 週1、4名参加 → 月あたり 13.3h削減(= 50分 × 4回 × 4名 ÷ 60)
- 時給2,500円 → 33,250円/月の価値
価値カード(例:週次PDF自動化)
- Before→After:60→10分(-50分/回)
- 対象人数/頻度:4名 × 週1(= 月13.3h削減)
- 影響KPI:意思決定までのリードタイム -30%
- 再現性:ログ/テスト/READMEで属人化ゼロ
- 価格の根拠:テスト本数・ログ・手順に投資
使い方:見積書や交渉メールにPDFで1枚添付。打合せは図3点+結論1行で説明すると通りやすいです。
2. アンカー戦略と「選べる3プラン」
価格の上位プランをアンカーにして、中位の割安感を作ります。オプションは図の枚数/監視粒度/SLAレベルなど“設計の差”で表現。
ライト:30,000円/月
週次PDF、軽微改修月2回、SLAの可視化
スタンダード:50,000円/月
週次PDF+ダッシュボード、月次60分レビュー、改善バックログ
プロ:100,000円〜/月
AB設計/監視、四半期レビュー、障害即日対応
3. 固定+成果連動の「ハイブリッド課金」
- 固定:50,000円/月
- 成功ボーナス:粗利改善の 1〜5%
- 成功の定義・測定期間・比較期間はKPI定義書に明記。
最低保証で赤字を避けつつ、成果が出たら双方が得をする形に。
反論対応と“譲れる順番”
反論対応スクリプト(コピペOK)
- 「他社はもっと安い」
「品質=再現性(ログ/README/テスト/監視)を標準で含めています。属人化ゼロの運用設計の分が価格に含まれます。範囲をミニ版(図2枚/監視なし/月1回改修)に縮めれば3万円で可能です。」 - 「同じ金額なら社内でやる」
「自動化は初速より再現性が肝です。config外出しとpytestで引き継ぎ30分を保証。社内負担の増減まで含めてご判断ください。」 - 「成果が不確実」
「ハイブリッドにしましょう。固定は最小に、成功時にボーナスで共有します。」 - 「納期を短縮して」
「可能です。ただし検収テストを圧縮するため、リスク共有の上でSLAをライトに変更します。」
コンセッション・ラダー(譲歩の優先順位)
価値を落としにくい順に「下から譲る」。譲らない軸は最後に明示。
- 図の枚数(3→2)/注釈の簡略化
- 監視の粒度(毎日→週次)
- 修正回数(2回→1回)
- サポート時間帯(24h→業務時間内)
- 納期(10営業日→12営業日)
- 記録/ドキュメントの簡略化(最低限は維持)
譲らない:検収基準/データ取扱・法務/品質テスト。
“証拠パック”で価格に文脈を与える
提案書に以下の3点セットを添付すると、価格=安心の内訳として納得感が出ます。
- ログ(処理時間・失敗率・エラー回数)
- PDFサンプル1枚(図3点+結論1行)
- 品質チェックリスト(欠損・重複・成功率)
いますぐ使える文章テンプレ
1) 値上げ通知(継続契約・30日前)
件名:来月以降の運用プラン見直し(再現性強化に伴うご提案)
[担当者名]様
お世話になっております。週次レポート運用について、品質(再現性/監視/法務対応)の標準化に伴い、
来月より以下の新料金をご提案いたします。
現行:月[30,000]円 → 新:月[50,000]円(スタンダード)
根拠:処理時間安定(≤3分)、成功率≥99%、監視レポート月次化、改善バックログの運用追加
選択肢:ライト[3万円]/スタンダード[5万円]/プロ[10万円〜]
詳細は添付の「Value Card」をご参照ください。
ご不明点は10分だけお時間ください(火10:00/水15:00/木19:00)。
引き続きよろしくお願いいたします。2) 値引き要望への回答(設計変更で応える)
ご提案ありがとうございます。ご予算感に合わせて、範囲を
「図3→2/監視なし/修正1回」へ変更するミニ版(30,000円)をご用意可能です。
品質=再現性を担保する最小構成は維持し、検収基準は据え置きます。3) ハイブリッド提案(成果連動)
固定[50,000]円+粗利改善の[2%]をボーナス(上限[300,000]円)でいかがでしょうか。
成功定義・測定期間はKPI定義書に沿います。4) 購買/法務向けの“1枚”
# 運用の再現性とリスク低減
- 再現性:README/テスト/ログ、引き継ぎ30分の動画付属
- 法務:スクレイピングは規約・robots順守、個人情報は非取得
- SLA:成功率≥99%、一次対応24h/解決48h、PDF生成≤3分
- 変更:Change Requestで合意後に再見積ケース別のおすすめルート
- 社会人(転職 × 実績づくり)
社内ミニ案件をライト→スタンダードへ引き上げ、価値カードを職務経歴書に添付。 - 副業(収益化を加速)
週次10分会+改善バックログで毎月5万円の継続を狙う。 - 在宅(時間帯制約あり)
非同期SLAを明記し、時間帯制限を価格に反映。
今日の60分:やることチェックリスト
- 価値カードを1枚作る(Before→After、対象人数、KPI、SLA)
- 3プラン表を作り、見積テンプレに差し込む
- 反論スクリプトをメール辞書に登録
- 次回定例で値上げ予告+ハイブリッド案を提示
相場感(現実と接続する)
- Excel/CSV自動化:ミニ … 初期 60,000円〜/運用 月2〜6万円
- 週次レポート自動化 … 初期 8〜12万円 + 運用 月1〜3万円
- スクリプト/スクレイピング(静的) … 初期 70,000円〜(動的は12万円〜)
提案では、相場帯のどこに位置づけるかを最初に宣言 → 根拠(再現性・KPI効果) → 3プランの順に。
伴走サービス(無料体験あり)
価格はアウトプットではなく「運用設計」の対価。無料カウンセリングで、あなたの案件の価値カードと3プランを一緒に作りましょう。
TechAcademy データサイエンスコース(受講料:174,600円~ ※更に割引あり)

株式会社キカガク AI人材長期育成コース(受講料:237,600円~)

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