
単発納品を“毎月の継続契約(リテイナー)”に変えたい。結局、何から整えればいい?
毎週のレポート会って長くなりがち…。10分で意思決定まで持っていくコツは?
結論:リテイナー化の鍵は ①意思決定に直結する定例レポート ②改善提案のバックログ運用 ③SLA/成果の可視化 ④更新・解約の前倒し交渉 の4点。レポートは**「図3点+結論1行」**でまとめ、毎週10分で意思決定まで到達させます。
この記事は、単発納品を月次リテイナー(継続契約)へつなげるための実務ガイドです。
初回提案から日々の運用、レビュー、契約更新までを同じ型で回すことで、クライアントの意思決定コストを下げ、“続ける理由”を自然に生み出します。
この記事で身に付く力
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設計図:週次10分/月次60分/QBR(四半期)で回す運用の型
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改善の回し方:提案とバックログの“1段落テンプレ”
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見せ方:SLA・成果ダッシュボードで「継続の理由」を可視化
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交渉:更新・解約を前倒しで握るドラフト&プレイブック
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よくある落とし穴:単発で終わる3つの理由
単発納品で終わってしまうのは、成果が悪いからとは限りません。設計の問題が多いです。
- 納品=終わりになっている:レポート後に意思決定の場がない。
- 成果が伝わらない:KPI改善が偶然か再現かが見えない。
- 契約が曖昧:運用SLA/改善スコープ/更新手続きが不明瞭で、継続判断が先送り。
解決の方向性
“毎週10分の意思決定会”を納品物に含める。運用と改善提案をセットで売り、同じ型で回します。
運用の基本設計:週次10分 → 月次60分 → QBR(四半期)
ここからは、現場で効果のあった台本とテンプレをそのまま提示します。まずはこの順で整備してください。
① 週次(10分)会議の台本:図3点+結論1行+打ち手
目的:今週の異常/伸びを発見し、即実行できる打ち手まで合意する。
タイムライン(10分)
- 0:00–1:00 結論1行(例:ROAS +0.3、欠品率 -0.7pt)
- 1:00–5:00 図3点(推移/分解/構成)—注釈・基準線つき
- 5:00–8:00 打ち手表(担当/期限/コスト/期待効果)
- 8:00–10:00 次週の検証デザイン(AB/閾値/定義変更)
打ち手表(テンプレ)
| 打ち手 | 根拠 | 期待効果 | コスト | 期限 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|
| キャンペーンB 予算+10% | ROAS +0.4 | 粗利 +80万 | +20万 | 金曜 | 広告A |
| 在庫補充+1日 | 欠品アラート増 | 欠品 -0.6pt | +8万 | 即日 | 物流B |
ふみとの現場メモ
初回は必ず注釈つきの基準線を用意。判断が速くなり、10分で終わります。
② 月次(60分)レビュー:因果の確認とバックログ更新
目的:施策の因果/再現性を確認し、翌月の改善計画へ落とす。
アジェンダ(60分)
- 0–10分 月次サマリ(KPI/予算/在庫)
- 10–30分 施策レビュー:勝ち/負け/学び(AB/閾値)
- 30–45分 改善バックログの優先度決定(Impact×Ease)
- 45–60分 QBRの素案(来月のテーマ/指標/仮説)
改善バックログ(テンプレ)
| 施策 | Impact | Ease | 期日 | 所有者 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| カテゴリCのLP改修 | 5 | 3 | 10/15 | Web | CV率0.4pt改善狙い |
| ダッシュボード初期表示高速化 | 3 | 4 | 10/08 | Data | 3秒→1.5秒 |
③ QBR(四半期)レビュー:1枚で合意
目的:四半期の成果と次四半期のテーマを、1枚で握る。
[結論1行] 例:四半期の粗利+12%/欠品-1.1pt/広告効率+0.35
[図3点] 四半期推移/施策別寄与分解/上位セグメント構成
[打ち手] 次Qの重点テーマ、成功の仮説、必要なコストQBR 目次テンプレ
1. 四半期サマリ(1枚)
2. KPIと外部要因(祝日/セール/価格改定)
3. 施策の因果(AB/閾値/カウンターファクト)
4. 失敗からの学び(3件)
5. 次Qのテーマ(2件)と予算案改善提案の作り方:1段落テンプレ×10
提案は「相手のKPI → 根拠の図 → コスト/期限」を1段落で。以下はそのまま使える例です。
- 在庫×粗利:「欠品アラートの頻度増(週2→週3)。在庫ターン改善により欠品-0.8pt見込み。費用+8万/今週実施。」
- 広告×ROAS:「セグメントBへ+15%配分。直近4週のROAS+0.4が根拠。費用+30万/今週。」
- UX×CV率:「LPのファーストビューに結論1行+図1枚。ABでCV+0.3ptを期待。デザイン費+10万/2週。」
- 運用×工数削減:「レポート生成10分→3分。
Make All+PDF自動配信。工数-5h/月、費用3万円。」 - アラート×障害減:「モデル/計測の分布ドリフト監視追加。障害-50%、費用1万円/月。」
- データ品質:「重複/欠損の品質ダッシュボード作成。障害検出+70%、初期15万円/運用1.5万円。」
- 意思決定速度:「週次会10分の台本導入。意思決定までの時間-30%、費用0円。」
- 教育/内製化:「運用手順と5分動画を整備。引き継ぎ30分、費用2万円。」
- 監視:「SLAダッシュボード運用(成功率/処理時間/失敗件数)。障害早期発見、費用1万円/月。」
- 法務:「スクレイピングの安全運用テンプレ導入。炎上リスク極小化、費用0.5万円。」
作り方の詳細は、
>>データ可視化レポート納品の型:Tableau/Matplotlib|“図3点+結論1行+運用”で伝わる・続く・刺さる
>>作業時間を半減する環境構築:VSCode/タスクランナー|“保存で整う・ワンキーで回る”仕組み化テンプレ
成果の見せ方:SLA/成果ダッシュボード(テンプレ)
SLA(運用品質)
- 成功率(ジョブ) ≥ 99%
- 一次応答 ≤ 24h、解決 ≤ 48h(営業日)
- PDF生成 ≤ 3分、ダッシュボ初期表示 ≤ 3秒
成果(ビジネスKPI)
- 粗利 +◯◯%、欠品率 -◯◯pt、ROAS +◯◯
- 作業時間 -◯◯h/月、アラート検知 +◯◯%
ダッシュボード構成:上段=SLAカード/中段=KPI推移(前週比・前年同週比)/下段=打ち手×効果表とバックログ進捗。
価格と契約:3プランのリテイナー設計
料金プラン(例)
- ライト(3万円/月):週次PDF 1本、軽微改修月2回、SLA可視化
- スタンダード(5万円/月):週次PDF+Tableau 1本、バックログ運用、月次60分レビュー
- プロ(10万円/月〜):上記+AB設計/監視、QBR 1回/四半期、障害即日対応
契約条項(ドラフト)
- 範囲:テンプレ維持/軽微改修/月次レビュー(各回30分)
- 変更:新指標/大幅改修はChange Request→再見積
- 請求:前月末請求・当月末支払、着手金30%
- 更新:満了30日前に自動更新/解約は15日前まで解約兆候の検知と“セーブ”プレイブック
- 兆候:週次会がスキップ続き/閲覧ログが半減/依頼が抽象化し返信遅延/KPI停滞が2週以上。
セーブ手順(メールテンプレ)
件名:次月の改善テーマを10分で決めませんか?
本文:直近2週のKPIは横ばい。10分だけ「次月の打ち手」を決める場をお願いします。(候補:火10:00/水15:00/木19:00)
添付:1) 図3点+結論1行 2) 打ち手表(Impact×Easeで上位3件)割引ではなく“設計変更”で対処。図枚数や監視範囲を縮小しても続ける理由を残します。
運用オペレーション:チェックリスト(週次/⽉次)
週次(前日→当日)
- □ データ遅延/異常のチェック(品質ダッシュボード)
- □ 図3点+結論1行の草案を作成
- □ 打ち手表の数値更新(期待効果/コスト)
- □ 合意事項をIssue化、担当/期限を設定
- □ 定義変更/ABの検証設計を決める
月次(前)
- □ 施策レビュー(勝ち/負け/学び)を3本抽出
- □ バックログのImpact×Easeを再採点
- □ QBRに向けテーマを2件に絞る
再現性の担保:フォルダ構成と自動化(コピペ可)
retainer_project/
README.md
CHANGELOG.md
config.yaml
make_report.py
backlog.md
qbr_template.md
sla_dashboard.md
scripts/
send_mail.py
make_pdf.py
.github/workflows/ci.yml自動化の基盤は内部リンク「作業時間を半減する環境構築」を参照。週次PDFの自動配信は所要3分想定。
アップセル/クロスセルの“正しい出し方”
- アップセル:成果が出た1指標を他セグメントへ横展開(例:カテゴリB→C)。
- クロスセル:品質/監視/教育など運用系を追加(例:SLAダッシュボード、引き継ぎ動画)。
- 出すタイミング:月次/四半期の成功を数字で示した直後。
ケーススタディ:3つの継続化ストーリー(要約)
- 小売A社:Excel自動化 → 週次10分会 → 在庫補充ルール見直し → 欠品-1.2pt → リテイナー5万円に昇格。
- 広告B社:ダッシュボード導入 → 打ち手表運用 → CV改善 → QBR導入でリテイナー10万円。
- SaaS C社:スクレイピング安全運用 → 監視SLA → 障害半減 → 保守契約に発展。
無料カウンセリング/体験(伴走レビュー)
質問初動と差し戻しが速い伴走は、台本化→習慣化を最短にします。週次10分会の設計・改善バックログの運用・SLAダッシュボードまで数字でレビューを受けましょう。
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株式会社キカガク AI人材長期育成コース(受講料:237,600円~)

読者タイプ別の導入順(3パターン)
- 社会人(転職):週次10分会の運用実績を職務経歴書に記載。
- 副業目的:ライト → スタンダードに段階アップ。QBRで単価UP。
- 主婦/夫(在宅):非同期SLAで朝活/夜活中心に運用を確立。
今日やること(60分)
- 週次10分会の台本と打ち手表を自分の案件に適用。
- 改善バックログを作成し、Impact×Easeで優先度を付ける。
- SLA/成果ダッシュボード雛形を用意し、次回会議で共有。
- 契約をリテイナー3プランに整理し、更新/解約手続きを明文化。
この記事から次に読むべきもの(内部リンク)
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