
毎週のExcel定型作業(集計・整形・レポート化)をPythonで自動化し、月3万円の運用費(または評価/手当)を安定的に社内受注するための実践ガイドです。
鍵は以下の4点。
- 時間削減を数値で示す(ROI) — 例:60分→10分、週1回×4名=13.3時間/月
- “納品の型”を先に決める(再現性×検収) — フォルダ構成・config・ログ・README
- 稟議テンプレ×SOW(運用合意) — 期待値と範囲を明文化
- 2週間パイロット — 小さく作って早く検証→本運用へ
この記事は「業務棚卸し → 要件定義 → 自動化 → 検収 → 運用」まで、コピペOKのテンプレと最小実装コードつきで解説します。
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この記事でわかること
- “60分→10分”の削減効果を数字で示すROIの作り方
- 2週間パイロットの進め方(スケジュール/検収基準)
- 納品の型(フォルダ構成・設定ファイル・ログ)
- そのまま使える稟議テンプレ/SOWドラフト/案内文
- pandas+openpyxlで動くミニ実装コード
なぜ“Excel地獄”は終わらないのか?
- 同じ列入替・結合・ピボットを、複数人で毎週60分かけていませんか?
- 属人化・引き継ぎの度に崩壊・検証の手間…会議直前にヒヤッとした経験、あるあるです。
- 実は障壁は技術より運用と合意形成。KPI/検収/運用手順を先に決めておけば導入はスムーズ。
以降は、現場で失敗を避ける合意形成ファーストの進め方をテンプレ付きで示します。
現場で効いた鉄板フロー(著者の実績ベース)
著者はデータ/マーケティングサイエンティストとして10年、定例レポート自動化50件超を伴走。うまくいく案件は例外なく次の順番です。
- 時間削減を数値化:例「60→10分×週1×4人=13.3h/月」
- SOWと検収基準を先に合意:「納品の型」を定め、ズレを消す
- 2週間パイロット:最小機能で素早く試す
- 月額運用へ移行:監視・軽微改修を“商品化”
実例:営業本部の週次レポート(4名×60分)を2週間で自動化。1回10分運用に短縮し、月3万円の運用費で合意。決め手はログと検収表を最初に提示したこと。
2週間パイロットの設計図(営業日10日)
スケジュール
- Day1-2:要件ヒアリング → SOWドラフト(対象データ/出力粒度/締切/責任)
- Day3-4:データ理解 → 疑似データ作成/最小実装
- Day5:検収テスト(サンプル3本)→修正
- Day6-7:PDF/メール自動化 と ログ整備
- Day8:利害関係者レビュー(15分)
- Day9-10:稟議・引き継ぎ資料 と 運用手順を確定
成果物(納品の型)
excel_automation/
README.md # 目的/使い方/検収基準
config.yaml # 入出力/列マッピング/日付範囲
main.py # 実行ファイル(CLI)
requirements.txt # 依存
templates/
report_template.xlsx
outputs/
logs/
tests/
scheduler.md # 予約実行(タスクスケジューラ/cron)検収基準(社内用)
- サンプル3本でExcel出力が完全一致していること
- 1回の処理が10分以内(PCスペック明記)
- ログに入力件数/異常件数/実行時間を記録
- READMEとconfig.yamlだけで運用者が回せること
ROIを先に作る:月3万円の根拠
計算式
月間削減工数(h) × 人件費(円/h) × 対象人数 × 運用率(0.6〜0.8)
例:60分作業→10分(-50分)×週1×4人
(50/60)×4週×4人 = 13.3h 削減/月
時給 2,500円 → 33,250円/月 = 月3万円の妥当性
ROIシートの項目:作業名/頻度/現状所要/自動化後所要/人数/時給換算/削減額/提案運用費
先に数字を置くと、稟議と合意形成が速くなります。
ミニ実装(pandas+openpyxl)
ここでは**「複数CSVを連結→月次・店舗×カテゴリで集計→Excel出力」**を最小コードで実装します。
目的・流れ・ポイントを併記したので、そのまま社内PoCに使えます。
1) config.yaml(設定を外出し)
ねらい:列変更・出力先・集計軸をコードを書き換えずに変更できるようにする。
効果:仕様変更に強く、運用担当でも扱える。
# 入力ファイルパターン(例:data/sales_2025-*.csv)
input_csv: data/sales_*.csv
# 日付列名(自動で月に丸める)
date_col: date
# 集計の次元(店舗×カテゴリ×月)
dimensions: [store, category]
# 集計する数値列
value_col: amount
# 出力するExcelファイルとシート名
output_excel: outputs/monthly_report.xlsx
sheet_name: 集計2) main.py(最小の実行スクリプト)
ねらい:CLIで--configを切り替え、ログに実行結果を出す。
ポイント:openpyxlをExcelWriterに使い、Excelテンプレにも対応。
import argparse
import glob
import os
from datetime import datetime
import pandas as pd
from openpyxl import load_workbook # ExcelWriter用
import yaml
# 使い方:python main.py --config config.yaml
def load_config(path: str) -> dict:
with open(path, "r", encoding="utf-8") as f:
return yaml.safe_load(f)
def build_dataframe(cfg: dict) -> pd.DataFrame:
files = sorted(glob.glob(cfg["input_csv"]))
if not files:
raise FileNotFoundError(f"入力が見つかりません: {cfg['input_csv']}")
dfs = [pd.read_csv(p, parse_dates=[cfg["date_col"]]) for p in files]
df = pd.concat(dfs, ignore_index=True)
# 月単位に丸める(文字列化してピボットしやすく)
df["ym"] = df[cfg["date_col"]].dt.to_period("M").astype(str)
return df
def aggregate_monthly(df: pd.DataFrame, cfg: dict) -> pd.DataFrame:
group_keys = cfg["dimensions"] + ["ym"]
agg = (
df.groupby(group_keys, as_index=False)[cfg["value_col"]]
.sum()
.rename(columns={cfg["value_col"]: "value"})
)
return agg
def export_excel(agg: pd.DataFrame, cfg: dict) -> str:
os.makedirs(os.path.dirname(cfg["output_excel"]), exist_ok=True)
main()3) scheduler.md(Windowsの週次実行)
ねらい:configの必須キーが欠けてないかをチェック。タスク スケジューラ → 基本タスクの作成 → 週次
操作: python main.py --config config.yaml
終了コード0を確認、logs/に時刻付きログを保存
4) tests/test_basic.py(壊さないための最小テスト)
ねらい:configの必須キーが欠けてないかをチェック。
import yaml
def test_config_load():
with open("config.yaml", "r", encoding="utf-8") as f:
cfg = yaml.safe_load(f)
assert "input_csv" in cfg補足:PDF化が必要なら、Excelテンプレの印刷設定を整え、Excel→PDF保存(社内PCのExcel COM)を pywin32 で実装します。
稟議を通す一枚テンプレ(コピペ可)
# 業務改善提案(Excel定例レポート自動化)
【背景】会議資料作成に60分/回。担当4名、週1回
【目的】所要時間を10分へ短縮、属人化の解消
【成果物】main.py、config.yaml、report_template.xlsx、README、scheduler.md
【検収】サンプル3本一致/処理≤10分/ログ出力
【費用/体制】初期 60,000円/月次運用 30,000円(監視・軽微改修)
【効果】月13.3h削減 ≒ 33,250円/月(時給2,500円換算)
【スケジュール】着手:◯/◯、納品:◯/◯(営業日10日)
【リスク/対策】列追加→configで吸収/担当離任→README+5分動画
【お願い】試行2週間→レビュー→本運用可否判断社内掲示(Slack/Teams)テンプレ
Excel定例資料(60→10分)にする自動化の試行を行います。
運用者不在でも回るよう、config/README/ログを整備します。
対象部門でご協力いただける方はDMください(匿名の疑似データで検証します)。トラブルを避ける運用ルール(社内版)
- 入力データは共有フォルダでバージョン管理。メール添付は禁止
- API/鍵は環境変数(
.env)で管理、リポジトリは非公開 - 個人情報は匿名化し、ログに残さない
- 変更要求はIssue+Change Requestで合意
- 監視:失敗時メール通知/週次の差分レポート
月額3万円“商品”の仕様(社内向けSOWドラフト)
# SOW(月次運用:Excel自動化)
範囲:テンプレ維持、軽微な列追加(月2回以内)、失敗時の再実行、月1回の改修30分
SLA:一次24h/解決48h(営業日)、成功率≥99%
例外:仕様追加/新テンプレ/データ元変更は別見積
成果:稼働レポート(月次、失敗率/処理時間/改善提案)発注者教育:最初の15分で揃える前提
- 自動化の限界:人の判断が必要な箇所は残す
- テンプレ固定:変更はCR票で管理
- ログ/検収:可視化して安心感を担保
- 引き継ぎ容易性:README/5分動画/サンプル入出力
よくある質問(社内)
- Q:マクロのままじゃだめ?
A:規模が大きい・複数人運用なら、config外出しとログ/テストが効くPython構成が安全。 - Q:担当が異動したら?
A:README+5分動画+サンプル入出力で30分引き継ぎ可能。 - Q:セキュリティは?
A:API鍵は環境変数、個人情報のログ禁止、共有フォルダ運用。
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質問初動と差し戻しが速い環境は、社内パイロット→本運用の切り替えがスムーズ。
まずは無料カウンセリング/体験でレビュー頻度/基準を数字で確認し、最初の1本を一緒に作りましょう。
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ケース別:導入の第一歩
- 社会人(転職):この社内案件を実務再現ポートフォリオに昇華→職務経歴書へ。
- 副業目的:社内で月3万円商品を実績化→外販へ展開。
- 主婦/夫(在宅):非同期SLAを先に合意し、朝活/夜活で回す。
今日からやること(90分)
- ROIシートを作る(現状60→10分の試算)
- このページのフォルダ構成/検収基準をコピーしてリポジトリ作成
- 稟議テンプレを社内向けに1枚化→上長へ送付
- 2週間スケジュールをカレンダーに登録(Day1-10)
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