
「未経験からデータ職に応募しても通らない…何を直せばいい?」
結論:履歴書でポテンシャル、職務経歴書で実務の再現性を示すのが王道です。
本記事は、採用側/伴走側の両視点から、1枚/2枚テンプレ、ATS最適化、職種変換の言い換え表、実務再現ポートフォリオ(PF)の作り方、NG→改善例、提出順までをそのまま使える形でまとめました。
この記事で身に付くこと
- 落ちる理由→通る型への置き換え方が分かる
- PFを「実務の再現」に変える手順が分かる
- ATS最適化で求人票とズレない書き方が分かる
未経験応募が落ちる「よくある3つの壁」
まずは“落ちる理由”をつぶしましょう。私がレビューした中で頻出のボトルネックはこの3つ。
- 作業の羅列で“成果”が見えない
→ 業務効果・数値・意思決定への翻訳が抜けている。 - PFがKaggle結果だけ
→再現手順 / Git / テスト / CIがなく実務接続が分からない。 - ATS・要件とズレ
→SQL / ETL / 可視化 / 評価指標などの語彙不足で要件に答えていない。
解決の全体像(3ステップ)
-
PFで実務を再現(疑似データOK、手順は
README化) -
職務経歴書で定量化(
時間削減 / 指標 / 施策に翻訳) -
ATSキーワード最適化(求人票と語彙を合わせる)
職務経歴書テンプレ(1枚/2枚)——まずは「1社1改善」
テンプレはコピペ→必要箇所だけ置換で使えます。
求人票の語彙に合わせて微修正(=1社1改善)しましょう。
1ページ版(ATS通過用)
# 職務経歴書(1ページ)
氏名:山田 太郎|メール:xxx@example.com|GitHub:github.com/xxx|Qiita/Blog:xxx
志望職種:データサイエンティスト/データアナリスト
■ 職務要約(3〜4行)
事務/マーケ職としてExcel・SQLで集計とレポート運用を担当。個人でPython自動化と可視化ダッシュボードを構築。
Git・pytest・CIで再現性を担保した **業務再現PF** を3件公開。KPI設計〜レポート〜施策提案まで一気通貫で実施。
■ スキル(ATSキーワード)
Python(pandas/numpy/scikit-learn)|SQL(JOIN/集計/ウィンドウ)|ETL|可視化(Matplotlib/Plotly)
統計(平均/分散/母比率)|評価(PR-AUC/MAE/CV)|Git/GitHub|pytest|CI|BI(Tableau/Power BI)
■ 実務再現PF(3件)
1. 解約予測(分類|PR-AUC 0.78, CV±0.03)
- 目的:解約率低減(主指標: PR-AUC、補助: Lift@Top10%)
- データ:疑似生成スクリプト+データ辞書(個人情報なし)
- 再現:`make all`(features→train→evaluate)、`pytest -q` 通過、ActionsでCI
- 打ち手:スコア>0.8をCS架電対象に。月間架電300件→想定CV向上 +1.5pt
- URL:GitHubリンク
2. 月次KPIレポート自動化(ETL/可視化)
- CSV→整形→Excel/PDF→メール送信。運用時間 **60分/回→10分**
- URL:GitHubリンク
3. 需要予測(回帰|MAE 12.4)
- ラグ/移動平均/曜日特徴。CVの平均±標準偏差を提示。閾値で安全在庫提案
- URL:GitHubリンク
■ 職務経歴(直近から)
20xx/04〜 現職(営業事務)
- 受発注データの月次集計(Excel→SQL化)。**月10hの工数削減**
- 週次レポートの可視化(折れ線/棒/100%積上げ)。**会議時間 -15分**
■ 学習・資格
- JDLA E資格学習中/統計検定2級/TOEIC 805
■ 志望動機(2〜3行)
SQL/ETL→可視化→施策提案の実務再現PFを **貴社の○○事業** に適用し、**KPI(例:解約率)**の改善に貢献したい。2ページ版(面接用・深掘り向け)
1ページ目は同一。2ページ目にPF詳細と成果の数値化を追加します。
■ PF詳細(解約予測:分類)
- 指標:PR-AUC、Recall@0.7閾値、CV 5fold(±0.03)
- リーク対策:時系列分割、IDリーク検査
- 運用:スコア配信のバッチ/監視指標/再学習方針
- 成果翻訳:架電の **精度×件数** からCSコストの期待削減を算出
■ 実務での再現(社内ミニ案件)
- 請求書チェック自動化(pandas) → 月2h削減ポイント:指標は"業務の意思決定”にどう効くか**まで書くと説得力が跳ね上がります。
「今の仕事」をDS文脈へ写し替える:職種変換の言い換え表
未経験でも言い換えで価値は伝わります。下表をコピペ→自分の実績に置換してください。
| 元の職務 | DS/DA文脈への翻訳 | 書き方例 |
|---|---|---|
| 営業事務 | データ整形/定例レポート運用 | 受発注CSVをSQL化し、月次集計を自動化(月10h削減) |
| 営業 | 施策評価/KPI運用 | キャンペーンA/BのCVR+0.8pt、ダッシュボード運用 |
| カスタマーサポート | ラベリング/テキスト分類 | 問い合わせタグ自動付与で対応時間-15% |
| EC運用 | 需要予測/在庫最適化 | 在庫閾値の見直しで欠品-12% |
コツ:削減時間/率・CVR・MAE など数字+意思決定への接続を必ず入れる。
ATS最適化:求人票→キーワード抽出→反映
- 求人票から抜き出す:
SQL/ETL/可視化/評価指標/業界語 - 職務要約/スキル欄に同義語も含めて反映(例:PR-AUC≒ROC AUC表記)
- PFタイトルにも要件語を入れる(例:
marketing_churn_prediction)
ATSチェックリスト
- SQL/ETL/可視化/評価指標/クラウド/BIの語が入っている
- 職務要約は3–4行で要件に回答
- GitHub/ポートフォリオURLをヘッダに
- 1ページ版はPDFで1MB以内、フォント埋め込み
- ファイル名:
Resume_Name_DS_YYYYMM.pdf
NG→改善例(Before/After)
NG:「Pythonを勉強中。Kaggleでスコア向上。」
改善:「解約予測(分類)をPR-AUC 0.78 (CV±0.03)で構築。make allで再現、pytest -q通過、CIで自動テスト。架電閾値0.8でRecall 0.6の運用提案。」
NG:「データ分析が好きで…」
改善:「受発注CSVのSQL化で月10hの手作業を削減。会議15分短縮のダッシュボードを運用。」
実例テンプレ:プロジェクト要約(STAR+指標)
◆ 解約予測(分類)
- S(状況):解約率上昇でCS負荷が増加
- T(課題):高リスク顧客の早期抽出(PR-AUCを主指標)
- A(行動):特徴量設計(利用頻度/課金履歴)、CV5fold、閾値0.7
- R(成果):PR-AUC 0.78、Recall@0.7=0.60、架電対象をTop20%に集中
◆ 月次KPIレポート(ETL/可視化)
* S:営業会議の資料作成に毎回60分
* A:CSV→整形→Excel/PDF→メール送信を自動化
* R:**60分→10分**、エラーログで再現性担保
◆ 需要予測(回帰)
* A:ラグ/移動平均/曜日特徴、MAEで評価
* R:**MAE 12.4**、安全在庫の見直し案を提示メモ:make・pytest・CIなど“再現性の装置”を明示すると実務接続が伝わります。
提出順と束ね方(通過率を上げる順序)
- 1ページ職務経歴書(ATS用)
- PF目次(1枚):3案件の目的/KPI/結果だけを図1枚で
- GitHubリンク:
READMEに再現手順/CIバッジ - 2ページ版(面接用):詳細は当日提示
監査と法務メモ(安心のために)
- 個人情報を入れない:PFは疑似データか公開データのみ
- 著作権:他社の図表・ロゴの無断使用は避ける
- 守秘義務:社内数値は比率や疑似で表現
スクール選びのヒント(無料カウンセリングで“差し戻し基準”を確認)
レビューの差し戻しが厳しいスクールほど、実務に強いPFが仕上がります。無料カウンセリング/体験で以下を数字で確認しましょう:
- 実案件に近い要件定義→納品物の型を学べるか
- レビュー頻度(例:週◯回)/返却までのリードタイム
- コードレビューの観点(
テスト / 再現手順 / データ辞書 / CIまで見るか)
TechAcademy データサイエンスコース(受講料:174,600円~ ※更に割引あり)
Tech Academy:質問初動の速さ×時間帯の柔軟性。在宅/副業と相性◎。

株式会社キカガク AI人材長期育成コース(受講料:237,600円~)
株式会社キカガク:業務再現型とレビューの具体性が強み。Git/pytest/CIも相談しやすい。

読者タイプ別の進め方(目的に合わせて最短ルート)
- 社会人(転職):1ページATS版→PF目次→GitHub の三点セットでまず10社出す。
- 実務未経験の学生:PFを2件→3件へ。うち1件は疑似データ生成から実装。
- 他職種からの社内異動狙い:現業の自動化ミニ案件を1件作って実績化。
よくある質問(抜粋)
Q. Kaggle実績しかありません。どう見せれば良い?
A. Notebook単体で終わらせず、データ辞書/再現手順/テストを補完。業務での閾値運用など意思決定への翻訳を入れましょう。
Q. 指標は何を書けば?
A. 分類なら PR-AUC/Recall(閾値付き)、回帰なら MAE/MAPE。CVの±値も添え、再現性を担保。
Q. 志望動機が書けません。
A. 貴社の○○事業×自分のPFの○○ を接続し、KPI改善(例:解約率・欠品率)にどう効くかを書く。
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