
データサイエンティストって、結局どんな仕事?Pythonでモデルを作れれば十分?
答えはNO。モデルは“手段”で、価値は意思決定が変わったときに生まれます。
本記事では、現場の仕事フローから必須スキル、年収レンジ、ポートフォリオの作り方、面接対策、6ヶ月ロードマップまで、初学者にもわかる形で体系化します。
この記事でわかること
- 要件定義→実装→レポート→運用までの仕事の全体像
- 評価される**T字スキル(深さ×広さ)**の作り方
- 日本市場の年収レンジと上振れ/下振れ要因
- 業界別の実務例と“見せるべき成果物”
- 6ヶ月ロードマップと“今日やること”チェックリスト
まず押さえるべき3つの誤解
- 誤解1:Kaggle入賞=即戦力
現実:実務の7割はSQL/ETL/説明責任。集計・データ整形・再現性の担保が日々の大部分を占めます。 - 誤解2:モデル精度が高ければOK
現実:価値は導入速度 × 意思決定の改善幅で決まる。0.5%の精度向上より、1クリックで意思決定が動く設計が効くことも。 - 誤解3:ツール列挙でアピールできる
現実:評価されるのは再現性(Git/テスト/CI)と保守性。誰が動かしても壊れにくい仕組みを作る力。
解決策:学び方を“業務再現”に寄せること(要件→実装→レポート→運用)。そのまま面接の証拠になります。
仕事内容の全体像(CRISP-DM × 実務)
日々の仕事は以下を反復します。各ステップで「成果物」があるのがポイント。
- 事業課題の定義
仮説・KPI・成功条件をOne-pagerに落とし込みます。
成果物:課題定義書(目的・背景・KPI・制約) - データ収集・整形(SQL/ETL)
スキーマ把握、抽出、前処理、特徴量基盤の作成。
成果物:ETLスクリプト、整形済みテーブル - 探索・仮説検証(EDA)
欠損/異常、相関、可視化で仮説を絞り込み。
成果物:Notebook、図(凡例・注釈付き) - モデル化(ベースライン→改善)
ベースライン→交差検証(CV±std)→過学習対策→評価。
成果物:train.py、evaluate.py、学習ログ - 打ち手設計(意思決定への翻訳)
閾値設計、A/B施策、運用ルール(例:スコア>0.8→SMS)。
成果物:施策設計書、意思決定フロー - 導入・監視(運用)
バッチ化/CI、再学習、監視ダッシュボード・アラート。
成果物:監視指標、アラート設計、運用Runbook
1日のタイムライン例:08:45 朝会 → 09:00 SQL抽出 → 11:00 可視化レビュー → 13:00 事業MTG → 15:00 モデルCV → 17:00 PR作成 → 18:00 施策メモ共有
ふみとの現場メモ
初めての需要予測では高精度追求で迷走。
CV±stdが安定した段階で在庫閾値設計へ軌道修正すると、価値が一気に顕在化。
“精度0.5%より、意思決定の1クリック”が教訓。
役割タイプと“主戦場”
- Biz-DS(ビジネス寄り):要件定義、KPI設計、ダッシュボード、A/Bテスト。
- ML-DS(モデル寄り):特徴量・学習・評価・チューニング、軽めのMLOps。
- 実務ではDA/DEと重なり合うのが普通。柔軟に行き来します。
必須スキルのT字図(深さ×広さ)
縦(深さ):Python/SQL/統計・機械学習/可視化・説明
横(広さ):Git/テスト/CI、クラウド、BI、業界知識
ハードスキル(必須)
-
Python:
pandas、numpy、scikit-learn、可視化(matplotlib/seaborn/plotly) -
SQL:SELECT、JOIN、集計、ウィンドウ関数(時系列/リテンションに必須)
-
統計・評価:PR-AUC/ROC/MAE/RMSE、交差検証(CV)
-
機械学習:回帰/分類のベースライン、特徴量設計、ハイパラ探索
-
可視化:図の選択・注釈・配色の原則、**“伝わる1枚”**の作り方
-
再現性:Git、
pytest、Makefile、GitHub Actions(CI)
ソフトスキル(差が出る)
-
課題分解と指標設計(KPI→目的関数へ落とす)
-
説明力(非エンジニアに届く言葉・図解)
-
プロジェクト運営(KPT、ステークホルダー調整、レビュー文化)
補足:初学者は**“ベースライン→小刻み改善→意思決定への翻訳”の順で。精度と価値の二兎**を追いましょう。
年収レンジの目安(日本市場)
レンジと補足
- ジュニア/アソシエイト:450〜700万円
- ミッド(実務自走):600〜900万円
- シニア/リード:800〜1,200万円
- マネージャ/スペシャリスト:1,000〜1,500万円+
上振れ要因:英語×外資、広告/ITプラットフォーム、MLOpsまでカバー。
下振れ要因:分析のみ(施策接続が弱い)、非都市圏、レポート中心。
業界別“実務例”と評価される成果物
構成:
README.md(目的/KPI/データ/再現手順/結果/限界/次アクション)Makefile(コマンドの標準化)tests/(pytest)ci.yml(GitHub Actions)
指標:CV±std、分類はPR-AUC、回帰はMAE、そして意思決定への翻訳(閾値・在庫・価格)
レビュー運用:Issue/PRテンプレ、差し戻し率の可視化
参考:スクール課題は「完成品」より再現性×運用×説明を重視して評価されます。
面接でよく聞かれる質問(抜粋)
- 課題定義:ビジネスKPIをモデルの目的関数に落とした事例は?
- データ:欠損・外れ値の扱いと根拠は?
- 評価:なぜPR-AUC(またはMAE)?CV設計は?
- リーク対策:どのように防いだ?
- 意思決定:モデルの閾値はどう決めた?施策運用は?
- 可視化:伝わる図とは?禁じ手は?
- 運用:再現性、Git/テスト/CIは?
-
-
面接でよく聞かれる質問50選と回答例(Python/DS職)|業務再現×指標×運用で刺さる答え方テンプレ
「精度は高いのに、面接で落ちるのはなぜ?」 採用側は“動く再現性”と“意思決定に繋げる説明”を見ています。 本記事では、採用側(評価者)としての実務経験をもとに、カテゴリ別50問の想定質問と**回答テ ...
6ヶ月で到達する学習ロードマップ(週10時間想定)
- 1–2ヶ月:Python基礎/
pandas/SQL/可視化
到達点:CSV→整形→図解→簡単な集計の一連ができる - 3–4ヶ月:モデル基礎/評価/ハイパラ、小さな需要予測
到達点:ベースライン→CV→改善→評価の流れが説明できる - 5–6ヶ月:業務再現PF、
README/CI/pytest、面接LT
到達点:再現手順どおり動くPF+10分LTで説明可能
-
-
未経験からデータサイエンティストへ:6ヶ月ロードマップ【現役が解説】
「数学もPythonもゼロだけど、半年で実務に通じる力はつく?」 結論、週10時間×24週の積み上げで「面接で語れる実務再現ポートフォリオ」まで到達できます。 カギは「学ぶ順番」と「毎週の小さな到達点 ...
スクール選びの提案(伴走レビューで“実務化”を最短に)
質問初動とレビュー(差し戻し)が速い環境は、学習→実務化までのTime-to-Valueを短縮します。
無料カウンセリング/体験でサンプル課題とレビュー基準を見せてもらいましょう。
TechAcademy データサイエンスコース(受講料:174,600円~ ※更に割引あり)

株式会社キカガク AI人材長期育成コース(受講料:237,600円~)

読者タイプ別の“勝ち筋”
- 社会人(転職):Git/pytest/CIの証跡と面接LTを最短で作る。
- 副業目的:Excel自動化×レポート→単価×稼働のシミュで回収設計
- 主婦/夫(在宅):非同期SLAが強い伴走を選び、詰まり時間を最小化
今日のチェックリスト(30分)
- 職種マップを決める(Biz-DS/ML-DSどちらに寄せるか)。
- PFテーマを1本選ぶ(需要予測/解約/異常検知/レポート自動化)。
- 土台作り:
README雛形+Makefile+testsを作成。 - 無料相談を2校予約し、サンプル課題とレビュー基準を文面でもらう。
README雛形(コピペ可)と使い方解説
以下は*顧客解約予測(業務再現PF)"のREADMEテンプレです。各セクションの狙いも解説します。
# 顧客解約予測(業務再現PF)
## 目的/KPI
- 解約率の低減(KPI: PR-AUC, Lift@Top10%)
## データ
- 疑似データ生成スクリプト/データ辞書
## 再現手順
- python -m pip install -r requirements.txt
- make all (features→train→evaluate→report)
## 結果/打ち手
- 閾値0.7でRecall 0.6 → CS架電対象に設定
## 限界/次の一手
- データ粒度、セグメントの追加、実運用でのリードタイム解説(初学者向け)
- 目的/KPI:モデルの存在理由。PR-AUCは不均衡データに強い指標。Lift@Top10%は施策の濃淡設計に直結。
- データ:疑似データでも生成スクリプトを残すと再現性が担保されます。データ辞書は型・粒度・欠損の仕様書。
- 再現手順:
pip installで依存を揃え、make allで一連の流れを1コマンド化。CIに載せやすく、面接でも高評価。 - 結果/打ち手:閾値→具体アクション(CS架電など)まで落とすと、“意思決定職”としての実力が伝わる。
- 限界/次の一手:完璧である必要はありません。現状の限界と改善案を明記すると、実務の考え方を示せます。
この記事から次に読むべきもの
-
-
未経験からデータサイエンティストへ:6ヶ月ロードマップ【現役が解説】
「数学もPythonもゼロだけど、半年で実務に通じる力はつく?」 結論、週10時間×24週の積み上げで「面接で語れる実務再現ポートフォリオ」まで到達できます。 カギは「学ぶ順番」と「毎週の小さな到達点 ...
-
-
【保存版】データ職のポートフォリオ完全ガイド|再現性・評価・LTまで
ポートフォリオって「作ったものの置き場」でしょ? いいえ。採用側が見たいのは「意思決定に効いた証拠」と「再現性」です。 本ガイドは、未経験〜初学者が週10時間×4〜6週で、テーマ選定→要件定義→データ ...
-
-
スクール卒業後の実力はGitHubで判定|評価軸と30分チェック
スクールって「卒業後の実力」をどう見極めればいい? 答え:卒業生のGitHubで判断できます。完成品よりも、“再現性×運用×説明力”です。 関連記事:>>【保存版】データ職のポートフォリオ ...
-
-
【保存版】面接で刺さる発表の作り方:10分LTテンプレ/スライド構成/図解/Q&A台本/練習法まで完全ガイド
面接で評価されるのは「精度の高さ」ではなく、「意思決定を動かす説明力」です。10分のライトニングトーク(LT)で、結論→根拠→打ち手を一貫したストーリーで語れれば、未経験でも十分に刺さります。 本ガイ ...
-
-
【保存版】受講費の投資回収シミュレーション:年収・副業収益で考える
「このスクール、高い?それとも安い?」 結論:「高いか安いか」は“値札”ではなく回収できるかで決める。 本記事は、受講費を年収アップと副業収益の両輪で回収するための「キャッシュフロー・テンプレ」を配布 ...
最近のコメント